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明治から大正にかけて活躍した渡辺省亭の全貌を明らかにするはじめての展覧会です。省亭は明治11(1878)年の万博を機にパリに渡り、ドガをはじめ印象派の画家たちと交流した経験を持ちます。
繊細で洒脱な花鳥画は、その後、万博への出品やロンドンでの個展などにより、海外で高い評価を得ます。一方、国内では、迎賓館赤坂離宮の七宝額原画を描くなど、その実力は認められながらも、明治30年代以降は次第に中央画壇から離れて市井の画家を貫いたため、展覧会で紹介されることが少なくなりました。
この展覧会は、近年再評価され、注目される省亭の海外からの里帰り作品を含め、これまで知られていなかった個人コレクションを中心に、全画業を紹介する待望の企画です。
嘉永4年12月(1852年1月)江戸神田佐久間町に生まれる。16歳で歴史画家・菊池容斎に入門。明治8年(1875)起立工商会社に入社し、輸出用工芸図案を担当。明治11年(1878)のパリ万博への出品を機に、日本画家として初めて渡仏。帰国後、内外の博覧会や展覧会に花鳥画を中心に積極的に出品。明治20年代には伝統と洋風を融合した自己様式を確立。明治30年代以降、美術展覧会、美術団体と距離をおき、弟子も取らず市井の画家として活動。大正7年(1918)に68歳※で亡くなるまで、注文に応じて制作を行った。※数え歳
全図
1893(明治26)年 絹本着色 個人蔵
紫、白、桃色と色鮮やかな牡丹が咲き誇ります。洗練された構図と確かな描写で、花弁が今まさに散っている情感あふれる場面が表現されています。
1893(明治26)年 絹本着色 個人蔵
生涯浅草に暮らした省亭は、江戸の美意識を頑なに守るタイプの日本画家でした。反面、その卓越したデッサン力や描写力は当時の日本画界では突出しており、西洋人の眼さえも驚かせました。日本的な情緒と西洋的な写実がみごとに融合した絵画世界は、現代の私たちにとっても魅惑の存在です。
無線七宝の技術を開発して近代日本工芸史に多大な功績をのこした濤川惣助(1847-1910)。その技術の魅力を最大限に引き出したのが省亭の原画でした。濤川の無線七宝は数々の万博に出品され海外でも評価されましたが、東宮御所(迎賓館赤坂離宮)の造営に際しては省亭の原画による七宝額絵の連作を製作しています。
明治時代後期 七宝
京都国立近代美術館 (撮影:木村羊一)
国宝・迎賓館赤坂離宮にある「花鳥の間」を今も華やかに飾る渡辺省亭・濤川惣助の共作による七宝額の原画を展示します。
絹本着色 全三十図のうち 東京国立博物館
Image:TNM Image Archives
展示期間:3月27日〜4月25日
江戸時代以来、インコが描かれることはありましたが、このインコはオーストラリアに生息する種で、日本画の画題となることは珍しい。
絹本着色 全三十図のうち 東京国立博物館
Image:TNM Image Archives
展示期間:3月27日〜4月25日
手前がヤマセミ、後方がカワセミ。どちらも羽の色が鮮やかなことから翡翠の字が当てられて飛ぶ宝石とも称せされてきました。
絹本着色 全三十図のうち 東京国立博物館
Image:TNM Image Archives
いずれも展示期間:3月27日〜4月25日
迎賓館正面
花鳥の間
花鳥の間・七宝額絵
※本展には出品されません
迎賓館赤坂離宮の「花鳥の間」壁面には30面の七宝額絵が飾られています。完全な状態で保存されたその原画は、今日、工芸品の原画というよりも省亭の代表作として異彩を放っています。
(画像提供:迎賓館赤坂離宮)
明治11(1878)年、省亭は日本画家としてはじめてパリを訪れ、滞在中にその筆さばきがドガをはじめ多くの印象派の画家たちを驚嘆させたと伝えられます。また、明治20年代にロンドンの画廊で開催された展示会では100点以上の省亭作品が販売されたと考えられています。今回の展覧会では海外での高い評価を物語る作品が里帰りします。
雛に双鶏図
鰈図
百舌鳥に蜘蛛図
牡丹に雛図
絹本着色 全二十一面のうち
メトロポリタン美術館、米国
米国の実業家が当初、河鍋暁斎に依頼し、暁斎没後、省亭が揮毫しました。小さな画面の中で、鳥や魚たちが躍動し、海外での評価を裏付ける作品。
絹本着色 全二十一面のうち
メトロポリタン美術館、米国
全図
1878(明治11)年 紙本淡彩
クラーク美術館、米国
Clark Art Institute. clarkart.edu
画中に「為ドガース君 省亭席画」とあり、この小品が印象派の画家ドガの目の前で描かれ贈られたものとわかる貴重な初公開作品。
1878(明治11)年 紙本淡彩
クラーク美術館、米国
Clark Art Institute.clarkart.edu
1890~94(明治23~27)年 木版本
二十五冊のうち 個人蔵
省亭は自ら編集して多色摺木版による雑誌『美術世界』を発行し、江戸時代からの伝統木版多色摺の技術を蘇らせて北斎などの作品を翻刻掲載しました。この美しい本は外国人にも人気を博し、多く輸出されたといいます。
菊池容斎門下の歴史画家として出発し、その後、花鳥画で一家を成しましたが、花鳥画に劣らず独特の品格を持つ美人画は「省亭風」とよばれ、後代の鏑木清方らにも影響を与えました。
冬 墨堤の雪
秋 瀧の川の楓
夏 不忍池蓮
春 上野清花
夏 不忍池蓮
春 上野清花
冬 墨堤の雪
秋 瀧の川の楓
絹本着色 四幅 個人蔵
単なる江戸浮世絵の明治版ではなく、人々の暮らす粋な風情を洗練された筆致で捉え、夏と冬は大きく美人を描いています。その場に赴いて写生をし、そこにある情感を絵画化しようとした省亭しか描けない江戸名所です。
絹本着色 四幅 個人蔵
会期中、東京藝術大学大学美術館内で販売するほか、
一般書店でも販売(2021年3月25日から)。
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※表紙はイメージです。変更になる場合があります。